未完成なシステムは拡散と収束をほどよく繰り返す。
拡散するダイナミズムを持った機構は広く伝播するとともに時代を経て、より洗練されて収束に向かうがそうして尚、新たな揺らぎを許容できるルールだけが多くの指示を得、その後には同様の変化を繰り返す。
麻雀の規則においては多様化が進む反面、統一化されたモノの需要は常に多くあり、各種団体でも多くの研究およびそれに基づいた提案がなされているのは周知の事実だが、未だ、一般の立直麻雀においてその定義が定まっていない項目の一つとして「立直後の暗槓の可否」に関する問題がある。
一般の立直麻雀とは、フリー雀荘での麻雀やテレビゲームの脱衣麻雀のことだ。
プロ団体等それなりに大きな組織においては何の問題も残っていない。
「待ち牌が変わらない場合にだけ、立直後であっても暗槓できる」
この規則は広く採用されているが、その実、細かな点においてグループごとに異なる解釈が存在している。
今から掲げるのはその様々な解釈の例だ。
ツモ![]()
この牌姿で
を暗槓しても構わないという奴。いわゆる「送り槓」。
実際にこれを許可しているグループがどれくらいあるのか不明だが、存在することは間違いないだろう。
ツモ![]()
自摸和了りなのに槓できるというルールだ。
こんなルールに出会ったことはないが、立直後の見逃しが可能ならば、こんなのも許してくれても構わないんじゃなかろうかという気がする。
しかし、この槓を行うことにより
待ちが無くなるという事実があり、これはとりもなおさず、その前に
を捨てていて、振り聴状態であったにも関わらず、
を槓することによってその振り聴が解消されたことになり、かなり複雑な状況だ。自摸り四暗刻の聴牌時を思い浮かべるとイイだろう。
ツモ![]()
を槓したとしても、待ち牌そのものは、
の四種類のまま変わらないので、この槓はOK!とするルールはかなりある。
しかし、ダメというのが一般的だろう。というのは槓することによって、嵌二筒待ちや辺三筒待ちなどが無くなってしまうからであり、双ポンの三筒待ちと辺張の三筒待ちとは明らかに別物である。
ツモ![]()
このツモ
は、
でも
でも同じことなのだが、一般的には槓できないのが普通だ。
槓してもしなくても、待ち牌は萬子のノベ単なのだが、槓することによって
という順子で構成されている面子が無くなるからだ。
待ち牌だけでなく、暗槓が面子構成に変化を与えてもイケナイというわけだ。
ツモ![]()
さて、この牌姿は、ツモ
で九連宝灯であり、待ち牌は
の三門張、もしくは
と
の双ポン待ちで、
を槓したとしても「待ち牌の種類」にも「待ち牌の形」にも「全体の面子構成」にも影響を与えない。
ところが、これもペケなのが普通だ。
九連宝灯の聴牌形の場合には、手役全体を一つの大きな面子構成を考える、という意見もあるけど、そんなことよりも「点数が安くなる可能性」のある槓はデキナイというのが正しい。
ツモ![]()
この例はどうでもヨロシイ。
しかし、こんな槓もできないという規則もある。これは「立直後の槓は一切禁止」というものだ。
以上の例をまとめてみると次のようになる。
| ルールの色々 | 例A | 例B | 例C | 例D | 例E | 例F |
|---|---|---|---|---|---|---|
| 送り槓でも槓できる | ◯ | ? | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
| 和了り牌でも槓できる | ? | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
| 和了り牌が変わらないなら槓できる | × | × | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
| 和了り形が変わらないなら槓できる | × | × | × | ◯ | ◯ | ◯ |
| 面子構成が変わらないなら槓できる | × | × | × | × | ◯ | ◯ |
| 和了り役が下がらないなら槓できる | × | × | × | × | × | ◯ |
| 立直の後には暗槓できない | × | × | × | × | × | × |
表の下から二番目の「和了り役が下がらないなら槓できる」というのが、多くのオフィシャル団体で採用されているルールであり、かなりスッキリしているようには思うがよく麻雀がわかっていない初心者には厳しい規則かもしれない。
五年後十年後には、どのような規則が一般的になっているだろうか。
わかりやすく、間違いがおきにくく、大方の賛同を得られるくらいには理論的な根拠もあるような規則とはどのようなものだろう。
「何でも槓デキル」あるいは「立直の後には槓デキナイ」のどちらかがイイようには思うのだが、共に一般の立直麻雀とは懸け離れすぎているような気がする。