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スポーツと映画と

2012-08-20

ロンドンオリンピックが閉幕しました。 選手たちの頑張る姿を観ようと、連日、寝不足が続いた方も多かったのではないでしょうか。
日本は 38 個のメダルを獲得しました。 オリンピックでは過去最多とのことです。
選手たちの頑張りをサポートするために文科省が掲げたスポーツ立国戦略の目標の一つである、夏季・冬季オリンピック競技大会において、それぞれ過去最多を超えるメダル数の獲得の前半部分が達成したことになります。

平成 20 年から実施されているチーム「ニッポン」マルチサポート事業は、トップアスリートの能力を最大限に引き出し、トップレベルの競技者が世界の強豪国に競り勝ち、確実にメダルを獲得できる体制を構築するために、医学・科学・栄養学・機器や用具の開発・情報分析・戦略立案等を国家レベルでサポートする事業です。
今回、見事にその成果を得たこの事業には、私は大賛成の立場です。
事業そのものの主旨とは別に、これに批判的な意見もあります。 特定の競技のみをサポートすることは(事業の対象となる競技は決められています)メジャーでないスポーツの切り捨てにつながるのでは、という危惧からです。
私自身は「何もしないよりはいいし、限られた予算を分配するのだから、対象となる競技を選抜することは当然」だと思っています。
皆さんはどうお考えになりますか。

オリンピックが始まってすぐの8月2日、同じロンドン発の嬉しいニュースがありました。
四年に一度ではなく、こちらは十年に一度、英国映画協会が発表している世界で最も優れた映画に、小津安二郎監督の東京物語が選ばれたのです。
世界の映画監督 358 人が選んだこの名作のことを、「たいした事件も起きないのに、観ていて胸を締め付けられそうになるこの映画の魅力は、日本人特有の感覚に訴えるものだ」と思っていた私は、前回(2002年)は5位、前々回(1992年)は3位だったという事実を知って、少し驚きました。 本当にいい映画に国境はないんですね。

日本の映画製作に携わる人々の投票によるベスト映画遺産が、キネマ旬報から5~10年おきに発表されています。 最も近い発表は 2009 年で、それでも東京物語は第一位でした。
こちらは日本映画に限定ですが、第二位から第五位までは、七人の侍浮雲幕末太陽傳仁義なき戦い、という順位です。 この五作品のうち三本に、ある俳優が出演しています(誰かは書きません)。
一位から四位までは 1950 年代の作品で、唯一仁義なき戦いだけが 1973 年の封切り。 ヤクザ映画、暴力映画とレッテル貼りして、この映画を敬遠するのはあまりにもったいない。人生で損していると思います。

スポーツも映画も、そしてたぶん音楽や読書も、人生を豊かにしてくれるものです。
大津市でなくなった中学生に、その感動や喜びを与えられなかったことは残念でなりません。 私達、大人の責任です。
文科省は「いじめの定義」や「実態把握のアンケート」よりも先にやるべきことがあるような気がしてなりません。 マルチサポート事業の運営にあたる以上に、戦略的に、自殺させない教育現場の構築が必要です。